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「対日戦勝記念日」への弁明 露の親日派議員に聞く

「対日戦勝記念日」への弁明 露の親日派議員に聞く
8月22日9時12分配信 産経新聞

 【グローバルインタビュー】

 ロシアで日本が第二次大戦の降伏文書に署名した9月2日を事実上の「対日戦勝記念日」に制定する法改正が成立したことについて、下院の対日議連会長を務める与党・統一ロシアのボリス・レズニク議員(70)に聞いた。レズニク氏は新記念日の正式名称が「第二次大戦終結の日」で「日本を特定したものではない」と強調したものの、その発言からは新記念日制定の根底にある歴史認識で日露間の溝が大きいことも改めて浮き彫りになった。

(モスクワ 遠藤良介)

 -新記念日に対する考え方は

 「この日付は単に第二次大戦が終結した日とされている。われわれは、ただでさえ露日間に難しい問題(北方領土問題)があるのに、関係を複雑にしたくはない。(当初、極東から提案されていた)『軍国主義日本に対する勝利』などではなく、われわれには第二次大戦の終結ということが重要だ。実際、戦争はたいへん過酷なものだった。それが勝利に終わったことはわが国にとっても世界にとっても重要な事実だ」

 「さまざまな議論の中では、なぜ日本を特定するのかというのがあった。われわれはドイツにもルーマニアにも、イタリアにも勝った。われわれだけでなく、国際社会が(勝ったの)だ。だから、『日本に対する戦勝』と名付けるのは正しくない」

 -この法が成立した経緯は。90年代半ばからの話だと思うが

 「発祥は極東、まずはサハリン(樺太)だ。極東では第二次大戦に参加した人がたいへん多い。西部の前線で戦争が終わった後、大きな戦力が極東に転戦させられたからだ。彼らが退役軍人などの団体でイニシアチブをとった。彼らにとって、戦争は(対ドイツ戦争の終わった)5月9日ではない。戦争は9月に終わった。そうしたイニシアチブを地方議会が支持し、長らくロシア議会でも検討されて最終的に法的な形式となった」

 -下院の雰囲気はどのようなものだったか。第1読会だけで即決されたが

 「誰かが反対するような法案ではなかった。すべての議員と会派に、これが記念日であるとの理解があった。実際に戦争が終わり、第二次大戦ではわが国に多大な人的犠牲があった。ソ連、ロシアだけでなく、全世界にとっての悲劇だった。世界的に9月2日を終戦の日として祝っているはずだ。日本でもそうではないかと思う」

 -日本では8月15日が終戦の日だ

 「日本が自らナチス・ドイツとの枢軸国として行動したのだ。われわれは戦争の終結がすべての国にとって悲劇の終わりだという立場だ」

 -なぜ今年になって、この法が成立したのか

 「さまざまな提案があった。『軍国主義日本に対する戦勝』を祝うなど。われわれ健全に思考する政治家はその提案を支持しなかった。露日間に横たわる困難な問題を解決するのに1年また1年と時が過ぎているのだから。私は対日議連を率いており、長らくいわゆる北方領土問題について議論してきた。(日本側との)面会でこの問題が取り上げられないことはない。これ以上頭痛の種は必要ない。今回の記念日は退役軍人を含めて皆を満足させ、まとめるものであり、どこからも反対はなかった」

 -新記念日にかかわる元軍人はどのくらいいるのか

 「極東戦線に参加した元軍人に関する集計は取られていないので分からない。基本は大祖国戦争(対独戦争)の参加者であり、その人たちは高齢化して、最も若い人たちでも83歳とか84歳になっている。毎年、多数が亡くなっている」

 -たしかに「軍国主義日本に対する戦勝」といった名称でこそなくなったが、日本との戦争が念頭に置かれている。それ以外に、ロシアは2月の軍事ドクトリン改定で「ロシアへの領土要求」を主要な軍事的脅威に掲げ、最近は極東での軍事演習で択捉島の演習場を使用した。日露関係を悪化させる要素をいくつも挙げることができる

 「第1に、演習については、いかなる国も自らを守らなくてはならず、軍は訓練を行わなくてはならない。大規模な演習は世界的に普通のことであり、(他国に対する)いかなる脅威でもない。今日、択捉島には小規模な部隊しか残っておらず、長らくクリル諸島(日本の北方四島と千島列島)に師団はない」

 「第2に、歴史の不愉快なページのみを取り出すべきではない。われわれには1905年に(日露戦争で)日本がロシアの艦隊を沈めたことが面白くないし、互いに不愉快な歴史のページというのはある」

 -軍事ドクトリンの「領土要求」については

 「全世界でそういうことになっている。もし自国への領土要求があるのなら、それがファンタジーだとしても、軍人は潜在的に紛争となりえるすべての原因を検討しなくてはならない。紛争の原因となる問題は取り除かねばならない」

 -ロシアにとっての領土問題は事実上、日本だけとなっている

 「たいへん難しい問題で、すぐに解決できるものではない。しかし、われわれは自らの提案をしており、立場を近づけねばならない。経済、文化、政治の各分野で協力を深め、信頼関係を強固にしないといけない」

 -日本側には、ロシアが日本との関係を正常化する必要がないと考えているのではないかとの懸念がある。つまり、領土問題を放っておいても日本のビジネスはやってくると

 「われわれは日本との経済関係に満足していない。われわれが関心をもつ高度技術やイノベーション(革新)技術は共有されておらず、日本側は接触にこない。だが、これは(日本にとって)先見の明のある政策とはいえない」

 「たいへん率直に言えば、今日の日本はこうしたテクノロジーをもっている唯一の国ではない。韓国も中国もたいへんな進歩を遂げており、ロシアはこれらの国とたいへん集中的で深い経済的協力をしている。日本はやや高慢に、ロシアなしでもやっていけると考えている。日本の多くの政治家と会ってきたが、ロシアに対する先見の明はあまり見えてこない」

 -経済関係について言えば、領土問題の存在以外にも、ロシアでのビジネスがやりにくいとの問題があるのではないか

 「この点では、まずロシアが悪い。1980年代末から90年代初頭にかけて、日本のビジネスは信頼をもってロシアに来たのに、その多くがだまされた。多くの人がビジネスを奪われ、巨額の資金を失ったために警戒心が残っている。だが、今のロシアはビジネスの構造や性格も含めて変わり、ロシアは国としてビジネスを守ることを保証している。それでも、再び信頼を勝ち得るのは容易なことではない」

 -記念日の問題に戻ろう。多くの日本人はソ連と戦争をしたとは考えていない

 「東京とベルリンはファシストの側だった」

 -日本は日ソ中立条約を守った

 「しかし、日本はナチス・ドイツと外交合意を結んでいた。(ソ連が)戦闘行動に入らなかったことについては色々な説明があるが、やがてこちら(西部)での戦争が終結し、あちら(極東)のことに注意を払わないわけにはいかなくなった。(日本人は)ソ連やロシアに立腹するのではなく、ナチス・ドイツと接触した自国の指導部に立腹すべきだ」

 -ソ連が開戦したのは1945年8月9日だ

 「すでに事実上、戦争状態にあったのだ。日本がベルリン、東京、ローマの同盟に入っていたのは事実であり、それからは逃げられない」

 -それによって日ソ中立条約を破ったことは正当化されない

 「当時の指導部は日本がヒトラー連合の一員として責任を負わねばならないと考えた。米軍が原爆を落としたことだって、いつになっても正当化されない。これは不適切な反応であり、復讐(ふくしゅう)だった。歴史にはさまざまな誤りも悲劇もあったが、誤りを繰り返さないために超然と歴史を見なくてはならない」

 -下院で新記念日の法案が可決された際、一部議員は「ソ連が朝鮮、満州、サハリン、クリル諸島を解放し、第二次大戦終結を早めた」と趣旨を説明した。賛成か

 「賛成だ」

 -日本が連合国に降伏を通告した8月14日、ソ連は満州の重要都市を全くコントロールしていなかった。ソ連が北方四島に上陸したのは8月の末だ

 「歴史を深追いするのに意味はない。15年ほど前にソウルでひどいものを見た。たいへんな数の老女たちが抗議行動をしている。日本兵らに乱暴された人々だという。中国も日本に対してはそれなりの請求がある」

 -日本は戦後、韓国や中国に対して謝罪し、公式的に戦後処理の問題は終結している。しかし、ソ連が中国や朝鮮を解放したとみなすことができるのか

 「深入りはしない。さまざまな解釈がある。ロシアにはこんな詩がある。『歴史は続く。毎日が非凡だ。歴史家にとって興味深い歴史ほど、現代人にとっては悲しいことだ』と。当時の人々にはさまざまな考えがあるのであり、当時の朝鮮の人にもそれなりのものがある」

 -付け加えるなら、記念日は9月2日だが、ソ連軍が(北方四島の)最後の島を占拠し終えたのは9月5日だ。矛盾ではないか

 「コメントしない」

■ボリス・レズニク氏■

 1940年2月生まれ。極東ハバロフスクの共産党高等学校卒。イズベスチヤ紙の記者を経て、2000年から下院議員。与党・統一ロシア党員。下院情報・情報技術委員会の副委員長や対日議連会長を務める。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100822-00000504-san-int

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