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米露スパイ交換、「大物二重スパイ」も放出

米露スパイ交換、「大物二重スパイ」も放出
7月10日0時45分配信 読売新聞

 【ワシントン=黒瀬悦成】米司法当局が男女10人をロシアのスパイとして逮捕した事件で、米露両政府が8日、冷戦終結後初めてとなるスパイ交換で合意し事態の幕引きを図ったのは、米露が新核軍縮条約への署名に代表される関係緊密化の機運の維持を最優先したためだ。

 しかし、米当局による10人の拘束期間は10日余り。「米露協調」のかけ声に押され、米国内の露スパイ網の全容解明がなおざりにされたのでは、との懸念が残る結末となった。

 英メディアなどによると、米国で国外退去処分を受けた10人は9日夕、露非常事態省の航空機でモスクワの空港に到着。また、ロシア側の4人を乗せた米国機も同日午後、英中部の空軍基地に到着した。

 10人が逮捕されたのは、ワシントンでオバマ大統領とメドベージェフ露大統領が会談し、「両国関係の強化」をうたった3日後の6月27日。米政府高官は、「(スパイのうち)1人が出国を図ったのを察知し、一斉逮捕に踏み切った」と説明した。

 10人が露対外情報庁(SVR)から指令されていた主要任務である「米政策担当者との関係構築および機密情報の入手」をどこまで進めていたのか全容をつかむ前に、見切り逮捕せざるを得なかった可能性もあるということだ。

 同高官はまた、「ロシア政府とは、一緒に達成すべき多くの課題がある。オバマ大統領による新たな対露姿勢は、我が国の戦略的な国益を増進させる」と強調し、今回の合意が「外交主導」の政治判断の産物であることを隠さなかった。

 一方、別の米政府高官は、10人を早々に露側に引き渡した理由について、「これ以上拘束しても新たな成果はない」と述べ、スパイ団が重要な国家機密の入手に至っていなかったことを示唆したが、せっかく捕らえたのに徹底的に尋問もせず釈放してしまったのは、諜報(ちょうほう)専門家の間から疑問の声も出ている。

 米国とは対照的に、ロシアが今回の交換合意に基づき釈放した4人は、5~11年もの間、露国内の刑務所に収監されていた。その中には、アレクサンドル・ザポロジスキー元SVR大佐も含まれる。

 同大佐は、オルドリッチ・エイムズ元中央情報局(CIA)対ソ連防諜部長(1994年逮捕)やロバート・ハンセン元連邦捜査局(FBI)特別捜査官(2001年逮捕)など、米政府内で活動するスパイの存在を米側に通報したとされる「大物二重スパイ」だ。既に徹底的な尋問を受けて情報を搾り取られているのは確実。露側としては利用価値のなくなった人物を取引材料として放出したに過ぎない。

 米高官は今回の摘発を、「今後、米国で同様の活動を企図する他国政府への警告としたい」と述べたが、仮に逮捕されても国外追放されるだけとの印象を与えれば、防諜対策上、逆効果ともなりかねない。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100710-00000078-yom-int

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